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「レ・ミゼラブル」のオリジナルコンセプトアルバム(フランス語版)を聴いてみた


大ヒットミュージカル「レ・ミゼラブル」の前身となるフランス語のミュージカル“Les Misérables”。
キャメロン・マッキントッシュが英語版をプロデュースしていなければ、そのまま3ヶ月で終わったミュージカルとして忘れ去られていたかもしれない。。
アマゾンでそのフランス版オリジナルコンセプトアルバムを発見したので購入してみた。

フランス版も素晴らしい

聴いていて心が踊る。美しい。パワーがある。
"Do You Hear the People Sing?"相当の"A La Volonté Du Peuple"は血がたぎる。
作曲のクロード・ミシェル・シェーンベルクと作詞のアラン・ブーブリルは天才だ。

フランス版の問題点

だけど、全体的にとてもとても荒削りだ。最初のあたりを例に説明してみる。

舞台は"At the End of the Day"とともに、ファンティーヌが働く工場から始まる。
何と"Prologue:Work Song"、ジャン・バルジャンとジャベールとの会話はなし。
ビショップも登場しない。

英語版ではエポニーヌが歌う"On My Own"。
何とフランス語版では、女工さんたちの嫉妬により工場から追い出されたファンティーヌが歌う。
内容は貧困と絶望
この後に髪を売る歌、そして"I Dreamed a Dream"へ。

・・・・聴いていて辛くなってきた。英語版より何倍も苦しい展開だ。

ひょっとしたら、フランスでの公演ではここで席を立つ人も多かったかもしれない。
それくらいの圧迫感がある。

キャメロン・マッキントッシュ他英語版のスタッフは素晴らしい仕事をしている。
囚人たちの荒々しいワークソング、ジャン・バルジャンとジャベールとの緊張感あるやりとり、ビショップの慈愛・・・さまざまな人の感情を冒頭に置いて、人々を揺さぶるドラマへと昇華させているのだ。

ディベロッパーの重要性

パリのミュージカルのマーケットはおそらく小さい。
小さいゆえに、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を発展させる能力がなかった。

それに比べてロンドンのマーケットは大きい。
ウェスト・エンドには40もの劇場が並ぶ。
それだけの人材が集まる。
彼らがミュージカル「レ・ミゼラブル」を発展させた。
それはいま映画となって我々を楽しませてくれる。

マーケットや産業の集積はとても重要だ。